このレポートは、GlobalGiving にてご寄付をいただいた方々にお送りしている英文のレポートを日本語に訳したものです。
2023年の 5月連休に、私たちはオンライン 2日間、物理 2日間のキャンプを開催しました。北は福島を含む東北地方から南は九州地方まで、小学生、中学生、高校生、合わせて10名がキャンプに参加しました。
今回、キャンプメンバーは「シリアス RPG」の制作に挑戦しました。シリアス RPG は、ロールプレイングゲームをシリアスゲームにしたものです。シリアスゲームは、娯楽を主目的としない (ビデオ) ゲームのことです。私たちの社会で課題となっている問題を集め、それらの問題についてプレイヤーに知ってもらったり、どう解決できるかを考えるためのゲームを作ったのです。といってもゼロからゲームを作るのは大変なので、人工知能の力を借りることにしました。大規模言語モデル (GPT) へのプロンプトによる自動生成でシリアス RPG を作って遊ぶことに挑戦したのです。今回作成した一連の RPG は、言語モデルがゲームの進行を司るゲームマスター (GM) となり、こどもたちが物語の登場人物を演じて、彼ら・彼女らと GM が対話しながら即興で物語を作っていく、テーブルトーク RPG のようなものです。こどもたちは、日本語という自然言語でのプロンプトを使って、思い通りのゲームに近づけるために GM をプログラミングしたのです。
このことは、こどもたちにとって予想以上に難しかったかもしれませんが、大学院生たちや他のスタッフらの協力もあり、皮肉や笑いの効いたゲームが次々と生まれました。実は、キャンプの最初の方で、例えば首都圏の防災対策など、状況を想定したシミュレーションを作ることは比較的簡単だと私たちは気づきました。でも、それはちょっと真面目すぎるので、今回のキャンプのタイトルでもある “Don’t be so serious” を合い言葉にしたこどもたちは、ゲームとしてもっとワクワクするようなものを目指したということなのです。その結果、小さくなって食糧難に立ち向かうゲーム、皮肉にも陸地を広げることで海の大切さを学ぶゲーム、天候を操作して都市を水浸しにしようとすることで、逆に治水の意義を理解するゲーム、学校の宿題の存在意義を見直すゲームなど、さまざまなゲームが爆誕しました。
こどもたちは楽しんでチャレンジしていましたが、何より楽しかったのは、物理的に集まって一緒にキャンプをした経験で、それが印象に残ったようです。この夏は、熱中症に気をつけながら、再び物理的に集まり、かつこどもたちの未来を育むキャンプを開催できるよう準備を進めています。
7月のボーナス DAY について
みなさまからの 100ドル以上のご寄付に対してマッチングが行われる、国際クラウドファンディング GlobalGiving のボーナス DAY が 7月12日に開催されます。ご寄付の額が多いほど、マッチングの額も多くなります (GlobalGiving の予算が続く限り)。この貴重な機会に、福島のこどもたち、日本のこどもたち、そしてアカデミーキャンプへのさらなる応援を賜れれば幸いです。
GlobalGiving におけるアカデミーキャンプのページ : https://www.globalgiving.org/projects/academy-camp/