「アカデミーキャンプ 2018夏」にご期待ください。
【活動報告】キミが決める!アカデミーキャンプ 2018冬
このレポートは、GlobalGiving にてご寄付をいただいた方々にお送りしている英文のレポートを日本語に訳したものです。
2月の 3連休、10日(土) から 12日(月) まで、初の試みとなる「キミが決める!アカデミーキャンプ」を今年の冬のキャンプとして実施しました。開催地は神奈川県藤沢市の慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス (SFC) で、福島から 17名のこどもたちが参加しました。その内 3名は「サブリーダー」としてキャンプの運営を助けてくれた高校生たちでした。
事前に、参加者とスタッフのみんなにはキャンプの中で何をやりたいかを聞いておきました。なぜなら、人工知能が今以上に発達する未来においては、私たちの活動の多くの部分は AI やロボットにより支援され、人間に残されるのは「決める」力だけだと考えているからで、このキャンプではこどもたちや若者がすべてを決めるという試みをしてみたかったのです。こうしたキャンプがこどもたちが生きる未来の「前適応」のステージになれば、と考えています。
「30歳以上の人の言うことを聞かない」という約束の下で (そしてその約束自体も大人から言われたことなので守る必要はないのですが)、キャンプはまず、自分たちでアイスブレイキングのための活動を即興でやってみる、というところから始まりました。そのために大学の教室が用意されていたのですが、みんなはそこから飛び出して、大学のキャンパス一杯を使ってかくれんぼや鬼ごっこをして楽しみました。
2日目には、買い物に出かけ、お菓子の家 (あるいは何らかの未知の構造物 ^^;) を作りました。そしてみんなが思い描く未来の姿を “sweded” (段ボールなどを使った手作りの小道具・大道具やコスチュームを使って撮った映画のこと) の要領で動画やライブパフォーマンスにまとめました。若いスタッフは、こどもたちからの「夜のキャンパスを散歩したい」という要望に応え、キャンパスのどこかに隠された、スタッフの一人が描いた絵を探して選び出すという冒険のゲームのルールを即興で作って実施しました。
最終日には、このキャンプでみんなで作ったものを楽しみました。すなわち、お菓子の家を味わい、そして自分たちの動画やパフォーマンスを観ました。
このキャンプがこどもたちにとって驚きの連続だったとしたら嬉しいです。彼ら・彼女らが何をするかを決めたのですから、自分たちで自分たちを驚かせたのです。指数関数的に変化する技術や社会の状況を生き抜くために、どうかこどもたちが全速前進で未来に向かっていくことを祈っています。
【お礼】新年のご挨拶
アカデミーキャンプより、謹んで新春のお慶びを申し上げます。
昨年も当キャンプへのご参加とご支援、誠にありがとうございました。本年も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
昨年はスマートスピーカーをはじめとする新しいテクノロジーが家庭にも浸透をはじめた年でした。こどもたちが「OK グーグル、宿題やっといて」と言ったら出来てしまうような世界が、もうすぐやってきます。「いや、宿題は手でやる (手書きでやる) ものだし、スマートスピーカーでは出来ないし、出来たら駄目でしょう」と仰るかもしれません。でも、こんな風に考えられないでしょうか。
- 大人は他人に読ませる文書を手書きなんかしないのに、なぜこどもたちは手書きの訓練をずっとしているのでしょうか。宿題をメールで提出するくらいの訓練は今からやっておいた方がよいのかもしれませんし、それすら時代遅れになる可能性大です。
- メモは手書き、というのは常識かもしれませんが、音声認識の技術もどんどん世の中に入ってきています。人工知能と話し言葉で対話しながら考えをまとめていく世界がもうすぐやってきます。
- 手先の器用さを育むための反復練習は大事かもしれません。ですが楽しくすればこどもたちは勝手に反復するのではないでしょうか。そして手先が器用になったとして、デジタルものづくりが発達した未来の世界でどの程度の役に立つでしょうか。
- 人工知能に助けてもらって、何が困るのですか?例えば、もし私たちが今、運送会社を経営しているとして、走るのが速い人と自動車を運転できる人ではどちらを採用したいでしょうか。採用時に走って荷物を届ける能力を測ることにどのくらいの意味があるでしょうか。同じようなことが、人間の知的能力についてもすでに言えます。スマホを持たない状態での能力を測るより、スマホを持った状態での能力を測った方がはるかに実際的な意味があります。スマホは持っているからです。
- 結局、条件さえ揃えてあげたら今でも人工知能やロボットにやってもらえるようなことを、人間がわざわざする理由はありますか。
「まあ言いたいことはわかるけど、こどもたちが生身で感じたり、やったりすることから得られる驚きとか感動とか発見とか、そういうことが大事なのでは?」と仰るかもしれません。激しく同意します。だとしたら、今、日本の学校で出題されているような、「苦行」のような多くの宿題に、何の意味があるのでしょうか。
こどもたちが飛び込んでいき、自ら拓いていく未来の世界と、こどもたちを囲む現在の学びの環境には、大きなギャップがあり、私たちは危機感を抱いています。危機感を抱くだけでなく、いろいろなことを試して、少しでも現状を打開していけるように、こどもたちが世界によって変えられるのではなく、世界を変えていけるように、これからも努力を続けて参ります。どうぞよろしくお願いいたします。
【活動予定】キミが決めるキャンプを創る
このレポートは、GlobalGiving にてご寄付をいただいた方々にお送りしている英文のレポートを日本語に訳したものです。
2017年12月のアカデミーキャンプはロンドンでのチャリティーコンサートから始まりました。改めて、コンサートの実現に努力してくださった方々、出演した青葉市子さん、そして GlobalGiving を通してご寄付をいただいた皆様方に感謝いたします。素敵な贈りものをありがとうございました。
私たちも、ちょっとした贈りものを、この夏のキャンプの一部の参加者のみなさんにようやくお送りできました。FabCafe Tokyo で 8月に自分たちで 3Dスキャンしたデータから 3D フィギュアを作るのに、かなり時間がかかってしまったのです。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス (SFC) の施設を使って 3Dプリンティングするための手続きと、あとはデータ形式のミスマッチがあって、遅くなってしまいましたが、やっとプリントが完了しました。フィギュアを並べると、キャンプの同窓会みたいになりました (↓写真)。
さて、私たちは今、2018年最初のキャンプとなる、2月に SFC にて開催する「キミが決める!アカデミーキャンプ 2018冬」の準備をしています。私たち大人のスタッフは、キャンプで何をやるかを決めません。参加者たちが決めます。なぜなら、現在のこどもたちが育ち、活躍する頃の AI (人工知能) 社会では、自動化されずに残り、人間が持たなければならない大事なスキルは、「何をやりたいか決めること」だと考えているからです。すでに、参加申し込みと一緒に、キャンプで何をやるかについてのいろんなアイデアを受け取っています: ロボットづくり、新しいスポーツづくり、大きなピタゴラ装置をみんなで作ること、スターウォーズの世界を再現すること、などなどです。3日間のキャンプでそれら全部をやることは可能でしょうか?トライしてみる価値はありそうです。こどもたちと一緒にチャレンジすることを、私たちは心待ちにしています。
みなさまのご支援のおかげで、冬のキャンプの実施に必要な予算額はかろうじて確保できました。ですが、その後につづくキャンプのためにも、引き続きみなさまからのご支援をどうかよろしくお願いいたします。みなさまも、こどもたちが欲する未来を近づけるため、一緒にチャレンジしていただけたら幸いです。
【メディア】「教育と医学」2018年1月号に掲載されました
慶應義塾大学出版会の雑誌「教育と医学」No.775 (2018年1月号)「特集1 AI社会の子どもと教育」に、『次世代の創造 : 「アカデミーキャンプ」での取り組みから』と題した記事が掲載されました (執筆はアカデミーキャンプ代表理事の斉藤が担当しました)。2017夏のキャンプでディープラーニング (深層学習) という AI (人工知能) の技術の体験ワークショップを実施したことから、編集の方にお声がけをいただいたものです。そのワークショップに限らず、最近のアカデミーキャンプの考え方と取り組みを紹介した記事となっています。
「AI社会」はすぐそこまで来ています。「OK グーグル、宿題やっといて」と言ったらできちゃうような内容の教育で、この先よいのでしょうか?これからのこどもたちの学びについて考えるきっかけになったら幸いです。
【募集終了】キミが決める!アカデミーキャンプ 2018冬
今度のアカキャンの内容は、「キミが決める!」
対象は小学4年生から高校生まで。ふるってご参加ください!
【開催趣旨】 ─ キミが決めるキャンプ
「これは、まだ人間が自動車を運転していた頃の話だよ」
今のこどもたちが大人になったとき、そんな風に前置きをして、彼ら・彼女らのこどもたちに、自分がこどもだった時代の話をするのかもしれません。今まで培われてきた常識が大きく覆っていき、今は人間にしかできないと思われている知的な活動の多くの部分も人工知能が担っていくことになるでしょう。そんな中、「何をやりたいのか」ということだけは、やっぱり人間からしか出てこないと考えられます。だからこそ、今のこどもたちには「決める」力と、大人の干渉を受けずにそれを使う体験が必要です。
そこで、このキャンプでは、参加するこどもたちのアイデアにもとづいてキャンプを構成します。キャンプの中で何をやるかの決定権は、できるだけ 30歳以上は持たないようにします。
申し込み時に書いていただく希望の中から事前に準備が必要なものは予め選びますが、その場で決められるものはその場で決めて、当日、最終的なプログラムが決まる 2泊3日のスペシャルな体験です。共通のお題は「キミが大人になったときの未来社会あれこれ」。ぜひ、未来の先取り体験を夢想して申し込んでください!
【実施概要】
- 会期 :
- 2018年2月10日(土)〜12日(月) [2泊3日]
- 対象 (定員) :
- 福島県在住の小学4年生〜中学・高校生 (24名)
※ 小3以下の参加ご希望についてはご相談ください (兄弟・姉妹との参加に限り配慮します)。
※ 高校生はサブリーダー (大学生リーダーらのサポート) としての活躍を期待します。 - 会場 : 慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス (SFC) (神奈川県藤沢市)
- 宿泊 : SFC 未来創造塾 滞在棟 1
- 参加費:ひとり 6,000円
(集合場所からの交通費・宿泊費・滞在中の食費・保険等を含みます。初日お昼のみお弁当をご持参ください。)
【参加にあたって】
- 当日の朝、福島駅・郡山駅・新白河駅のいずれかに集合していただき、新幹線を含む公共交通機関で移動します。集合時間は、福島駅・郡山駅 10:15頃、新白河駅 10:30頃、現地着 14:30頃を予定しています。
- 集合場所までの往復交通費は各自のご負担でお願いいたします。
- 会期中は、さまざまなことに興味をもつ大学生たちと共同生活しながら、参加者が希望する「やりたいこと」の専門家らとのワークショップに参加します。また、身体をつかったさまざまな遊びの機会も設ける予定です。
【参加申込み】
定員に達したため、募集を終了しました。キャンセル待ちご希望の方は info@academy-camp.org 宛てにメールにてご連絡ください。
※ 携帯アドレスでお申し込みの方は、info@academy-camp.org からのメールを受信できるように設定ください。
※ ezweb の場合は上記アドレスからのメールが届かないこともありますので、2日経っても返事がない場合は電話番号を添えてメールにてお問い合わせください。
実施責任者
- 斉藤 賢爾
(慶應義塾大学 SFC 研究所 上席所員・環境情報学部 講師(非常勤) /
アカデミーキャンプ代表理事) - 南 政樹
(慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科 特任助教 /
アカデミーキャンプ理事)
共催
慶應義塾大学 SFC 研究所 パブリックテクノロジーデザインコンソーシアム
【お礼】ロンドンでのチャリティーコンサート
いつもチャリティーを通してアカデミーキャンプにご支援をいただいている大和日英基金と、そしてミュージシャンの青葉市子さんのご厚意により、12月4日(月) 19:00-20:00 (英国時間)、ロンドンの St Pancras Church にてチャリティーコンサートが開催されました。
100人ほどが聴きに来てくださり、チャリティーでは、福島のこどもたちとアカデミーキャンプへのご寄付が呼びかけられました。
青葉市子さま、大変お世話になった小川さまはじめ大和日英基金のみなさま、そしてコンサートを聴きに来てくださり、現金や GlobalGiving を通してご寄付をいただいたみなさま方に、深く感謝いたします。ありがとうございました!
新しいアカデミーキャンプへ!
新しくなるアカデミーキャンプのウェブにご期待ください。
【活動報告】アカデミーキャンプ 2017夏「次世代の創造」第2期
このレポートは、GlobalGiving にてご寄付をいただいた方々にお送りしている英文のレポートを日本語に訳したものです。
8月21〜24日、私たちはこの夏の 2期目のキャンプを慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス (SFC) にて開催しました。小学生・中学生、そしてサブリーダーとしての高校生1名を含む 24名の福島のこどもたちが、この「ディープラーニング」をテーマとしたキャンプに参加しました。
ふたたび「世の中の常識に従ったことで世界を変えた人はいまだかつていない (No one has ever changed the world by doing what the world has told them to do)」という10代の起業家、エディー・チョン氏の言葉に触発されて、私たちはこのキャンプを通して「従順になるな」というメッセージを打ち出しました。このキャンプの参加者たちが大人になる頃、従順であることにかけては、人工知能やロボットがもっとうまくやっているだろうからです。
前期のキャンプに倣って、私たちは即興からこのキャンプをはじめました。私たちの友人、即興芝居×即興コメディのロクディムさんが、このキャンプのオリエンテーションをリードし、またライブパフォーマンスではこどもたちを参加させてくださいました。翌日は江ノ島・鎌倉を散策しましたが、出発前に何枚かの写真を見せて、それと同じ場所・同じ構図で写真を撮ってくるというミッションがありました。そのうち 1枚は映画「シン・ゴジラ」の 1シーンでしたが、(想定通り) いくつかのチームは、ウェブを検索するだけで、出かける前にその撮影場所を特定していました。3日目は、はこだて未来大学の学生たちがゲームのデザインを体験させてくれました。また、Preferred Networks 社の研究者がやって来て、イヌとネコを見分けるニューラルネットワークをこどもたちと一緒につくりました。そして有名な「トロッコ問題」について紹介し、倫理と人工知能の問題についてみんなで深く考えることになりました。その夜は、キャンパスでの宝探しをしました。最終日には、こどもたちと学生スタッフがそれぞれ、自分が28歳になったときのことを考えました。
28歳とは、日本のユーチューバー、HIKAKIN の現在の年齢です。彼は自分がこどもの頃、今の職業に就くとは夢にも思っていなかったでしょう。同じように、こどもたちの前には未知の未来が広がっています。このふたつのキャンプを通して、保護者のみなさまからは多くのメッセージを受け取りました。多くの保護者のみなさまも、こどもたちの未知の未来が気がかりなようです。
【活動報告】アカデミーキャンプ 2017夏「次世代の創造」第1期
このレポートは、GlobalGiving にてご寄付をいただいた方々にお送りしている英文のレポートを日本語に訳したものです。
8月17〜20日、この夏の最初のキャンプを慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス (SFC) にて開催しました。小学生・中学生、そして 3名の高校生サブリーダーたちを含む、福島と千葉からの 25名のこどもたちが、この「デジタルファブリケーション (デジタルものづくり)」をテーマとするキャンプに参加しました。
「世の中の常識に従ったことで世界を変えた人はいまだかつていない (No one has ever changed the world by doing what the world has told them to do)」という 10代の起業家、エディー・チョン氏の言葉に触発されて、私たちはこのキャンプを通して「従順になるな」というメッセージを打ち出しました。このキャンプに参加したこどもたちが大人になる頃、従順であることにかけては人工知能やロボットがもっとうまくやっているだろうからです。
私たちは即興からこのキャンプをはじめました。私たちの友人、即興芝居×即興コメディのロクディムさんが、オリエンテーションをリードし、またライブパフォーマンスではこどもたちにも参加する機会がありました。翌日は渋谷の FabCafe Tokyo を訪問し、3Dスキャナーと 3Dプリンター、レーザーカッター、そしてオリジナルのテープづくりのマシンを使用する体験をしました。翌日は、江ノ島・鎌倉を散策しましたが、出発前に何枚かの写真を見せて、それと同じ場所・同じ構図で写真を撮ってくるというミッションが付いていました。藤沢市近辺の探検は楽しかったようです。最終日には、全員で、28歳になったときの自分のことを考えました。
彼ら・彼女らは何にだってなれるのです。このキャンプを通して、こどもたちがそんな風に感じられるようになったら幸いです。